のと爺の古事記散歩

古希+4歳になってしまった爺さんが勝手気ままに古事記を散歩します。

古事記の神様と神社・ご近所編(14)

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 神社に関心のある方なら、一度や二度はこの風景を写真などでご覧になったことがあると思います。ここはどこでしょう。ここは、茨城県大洗町にある「大洗磯前神社(おおあらいいそさきじんじゃ)です。岩場に鳥居が立つ「神磯の鳥居」は関東屈指の日の出スポットとして有名で、特に元旦には初日の出を撮るために大勢のマニアが押し寄せるそうです。私も前から一度は行きたいと思っていまして、常陸国出雲大社の帰りに真っ昼間でしたが、ついに行って来ましたよ。

 

 

1.場所

 ここです。

 

2.ご由緒&ご祭神

 日本文徳天皇実録(平安時代に編纂された歴史書で、六国史の第五にあたる)によると、斉衡3年(856年)に常陸国鹿島郡の大洗磯前に神が現れたとされる。 
『ある夜、製塩業の者が海に光るものを見た。次の日、海辺に二つの奇妙な石があった。両方とも一尺ほどだった。さらに次の日には20あまりの小石が怪石の周りに侍坐するように出現した。怪石は彩色が派手で、僧侶の姿をしていた。神霊は人に依って「われは大奈母知(おおなもち)・少比古奈命(すくなひこなのみこと)である。昔、この国を造り終えて東の海に去ったが、今人々を救うために再び帰ってきた」と託宣した。
 そしてその後、現在の大洗町にオオナムチノミコトを祀る「大洗磯前神社」と、スクナヒコナノミコトを祀る「酒列磯前神社」が磯崎町に創建されたのだそうです。

*酒列磯前神社(さかつらいそさき)については次回、お話ししますよ。

大洗磯前神社は、
 主祭神が大己貴命(オオナムチノミコト、大国主神の別名)
 配祀神が少彦名命(スクナヒコナノミコト、少名毘古那神の別名)

国造りのペア神というところですかね。 中世には戦乱で荒廃し、近世になって水戸藩主の徳川光圀・綱條により再興されました。本殿・拝殿・随神門が茨城県・大洗町の文化財に指定されています。
 文字が小さくて読みづらいですね。無理に読まなくてもいいですよ。

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3.大黒様と恵比寿様

 一般に、大国主神=大黒様(大黒天)と言われますが、大黒天とはヒンドゥー教のシヴァ神の異名であり、これが仏教に取り入れられたものです。大黒の「だいこく」が大国に通じるため、古くから大国主神と混同され習合して豊穣の神として信仰されています。後に七福神の一柱の大黒様として知られる食物・財福を司る神となりました。室町時代以降は「大国主神」の民族的信仰と習合されて微笑の相が加えられ、さらに江戸時代になると米俵に乗るといった現在よく知られるお姿となったそうです。現在においては一般には米俵に乗り福袋と打出の小槌を持った微笑の長者形で表されています。 

 一方、少彦名命は恵比寿様と同視されます。恵比寿様については機会があったらブログでも書きたいと思っていますが、ここでは、恵比寿=蛭子(ひるこ)で、実はイザナギ、イザナミの最初の子供であるということだけお話ししておきます。
 スクナヒコナは、オオクニの手のひらに乗ってしまうほどとても小さな神様で、一寸法師のモデルとも言われています。恵比寿様と同視されるのは、その登場の仕方なんですね。古事記によると、オオクニが美保の岬で国造りに悩んでいた時、波の上を天羅摩船(あめのかがみのふね)という植物の実でできた舟に乗り、蛾の皮で作った衣服を着てやって来たのです。砂浜などに打ち上げられる漂着物を神聖なモノ・神様と考え、「えびす」と呼んだえびす信仰と合致したのだと言われています。

 この写真は、あとででてくる随神門の前にいらっしゃった大黒様(左)と恵比寿様(右)です。

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 では、参拝しましょう。でも、その前に。

 大洗インターを下りて県道を走っていると「大洗鳥居下」という交差点に出るのですが、何と、道路を跨いで大きな鳥居が立っています。これ、一の鳥居だよなぁ~、写真撮りたいなぁ~と思っても交差点なので停車できません。てなわけで、この写真はネットから拝借しました。

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 この鳥居をくぐり左折すると結構な上り坂になり、駐車場に着きます。車を降りて歩いて行くとまもなく境内に入ります。手水舎があり、右手に鳥居がありました。で、鳥居に近づいてビックリ、こんな景色になります。ここは三の鳥居だ!

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 階段があり、その先に鳥居が見え、更にその先は海です。ということは、その海に冒頭写真の神磯の鳥居があるんかな? とりあえず、海をめざそうと思い、階段を下り道路を渡り、狭い通路を歩きます。海が見えるぞーーー! 

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 そして、見えた、見えた、神磯の鳥居だーーー!! ここにオオクニとスクナヒコナが降臨したのです! こりゃ、時間帯によっては素晴らしい景色になる!

 徳川光圀公が大洗磯前神社に参拝した際、神磯のあまりの美しさに「あらいその岩にくだけて散る月を一つになしてかへる月かな」と詠んだそうです。

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 しばし見とれていたのですが、まだお参りしていないことを思い出し、境内に戻ります。今度は狭い通路を逆に行きます。奥に二の鳥居が見えます。

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4.参拝

 通路を出ると道路の向かいに二の鳥居があります。いや、これがまた立派ですよ。扁額の書は有栖川宮熾仁親王(ありすがわのみやたるひとしんのう)が書かれたとのことです。

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 そして、ずいぶん劣化している狛犬です。ちょっと心配ですね。

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 さぁ、階段を登って三の鳥居に行きます。段数を数えましたら90段ありました。ということは愛宕神社の出世の階段86段より少しだけ多いんですね。

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 三の鳥居をくぐると右手に手水舎があります。

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 まず、随神門です。歴史を感じますね。 

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境内全体はこんな感じです。

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 拝殿です。前面彫刻が見事ですね。

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 裏手に回ると本殿が見えます。この分厚い茅葺屋根がなんとも立派で、彫刻も見事ですね。

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 そして末社です。
 左から大神宮、静神社、水天宮です。

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 右から八幡宮、水神社、大杉神社です。

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 神馬もいましたよ。

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 拝殿前にはカエルがいたんですが、意味が分かりません。

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 では、御朱印をいただきましょう。

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 さぁ、いかがでしたでしょうか。神磯の鳥居には感激しましたね。是非、日の出を見てみたいと思いました。でも、歳だし無理かなぁ・・・。

 さて、次回はペアになっている酒列磯前神社です。お楽しみに!


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