のと爺の古事記散歩

古希+4歳になってしまった爺さんが勝手気ままに古事記を散歩します。

のと爺の奈良旅レポ(5)

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 さぁ、奈良旅の二日目です。今日は大神神社、橿原神宮、神武天皇御陵を参拝する予定です。古事記を少しかじり始めたこともあり、奈良に来たらこの三か所ははずせないと以前から思っていました。
 まず、JR奈良駅から桜井線に乗り三輪駅で下車し、大神神社を目指します。(1)でお話ししましたが、ここは無人駅です。ただ、駅舎内に神社への案内が出ており、迷うことはありませんでした。


目次

 

1.場所

 ここです。

 

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 案内板の通りに歩いてくると鳥居に着きます。ただ、これは二ノ鳥居なんですね。では一の鳥居はどこかというと、正反対の方向に15分ほど歩くらしいです。で、申し訳ないけどパスしてしまいました。駅の案内板にも書いてなかったしね。

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2.ご由緒とご祭神

 先にご祭神の話をしましょう。ご祭神は大物主神で、配祀神が大己貴神と少彦名神です。あれ? この神様トリオの名前、どこかで聞きましたよね。そう、前回の漢國神社での話です。つまり、国作りの途中で少彦名神が常世の国へ行ってしまい、一人になって困っていた大己貴神の前に現れたのが大物主神でしたね。そして大物主神が祀られたのが御諸山(現在の三輪山)だったのです。
 そしてこの神社の特徴的な所は、本殿がないということです。ご神体が三輪山そのものなので、拝殿の奥にある三ツ鳥居を通し三輪山を拝するという原初の神祀りの様を伝える我が国最古の神社なのです。ですから、創建がいつかは分かりません。とにかくメッチャ古いのです。詳しくはHPをご覧下さい。

oomiwa.or.jp

3.一霊四魂(いちれいしこん)

 HPを見るとご由緒の記事にこんなことが書かれています。
「日本書記では、二神の問答で大物主大神は大国主神の「幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)」であると名乗られたとあります。そして『古事記』同様に三輪山に鎮まることを望まれました。この伝承では大物主大神は大国主神の別の御魂として顕現され、三輪山に鎮まられたということです。」

 大物主神が大国主神の幸魂、奇魂である、とはどういうことなんでしょうか?

 一霊四魂とは神道の考え方で、心というものは4つの魂からできていて、それをまとめているのがひとつの霊(直霊・なおひ)であるということです。つまり、直霊が4つの魂を司っているのです。
 そして、4つの魂とは
 荒魂(あらみたま)・・・勇ましさ、向上心、前進力、達成力を司る
 和魂(にぎみたま)・・・平和、調和、想いやり、人と親しみ交わる力を司る
 幸魂(さちみたま)・・・優しさ、献身性、人を愛し育てる力を司る
 奇魂(くしみたま)・・・真理を追及する力、物事を観察分析し悟る力を司る
を言います。それにしても、大国主神が自分の魂を大物主神として祀るとはどういうことなんでしょうか。私の錆び付いた脳ミソではにわかに理解することは無理!
あまり難しいことは抜きにして、参拝しましょう。

4.参拝

 まず、境内図を見てみましょう。これを見て、とても全部は回れないと思いながら、
とにかく二ノ鳥居から参道を進みます。進むにつれ、上り坂になっていることが分かります。そしてその先には階段があります。

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 階段近くの左手に祓戸神社、夫婦岩があります。

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 そして階段の先に拝殿が見えてきます。いやぁー、さすが立派です。
手前に手水舎があります。見づらいですが、蛇の口から水が出ています。これが本当の蛇口ですね。なんちゃって・・・。ハイッ!座布団1枚。竹の手水舎も珍しいです。

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 手水舎の裏にしるしの杉があります。「しるし」とは神の霊験のことで、ご祭神があらわれたとされる神杉の根株です。

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 さて、拝殿です。拝殿の裏手一帯がご神体の三輪山になります。

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 そしてご神木です。

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 さて、授与所でご朱印をいただきましょう。

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 次は二ノ鳥居に戻ります。そして、鳥居を出てすぐ右手の細道を行き、大直禰子神社(若宮社)と久延彦神社を目指します。

5.大直禰子神社

 大直禰子神社(おおたたねこじんじゃ)へ向かう道の途中にちょっと目を引く地蔵尊がありました。なになに、ぼけ封じ地蔵?脳天地蔵? こりゃ、行かずばなるまい!
 

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 行ってみたら、とても珍しいものを見つけました。軒下に鈴と鰐口の両方が下がっています。ここは地蔵尊ですからお寺ですよね。お寺に鈴は珍しいですね。神仏分離令以降、ほとんどが神社は鈴、お寺は鰐口というふうに分かれました。両方あるのはなかなか見られません。神仏習合の名残でしょうか。思わぬ所でいいものが見られました。

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 ぼけ封じ、何卒よろしくおねげーしますだ!

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 さて、大直禰子神社(おおたたねこじんじゃ)に着きました。国の重要文化財になっているそうです。ただ、無人なんでしょうか、どなたもいらっしゃいませんでした。

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 そして、石段脇におたまき杉があります。これは何かご存じですか?話せば長いのですが、次の三輪伝説でお話しします。

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6.三輪山伝説

 この大直禰子(おおたたねこ 古事記では意富多々泥古)という人は、あまり馴染みがないと思います。古事記では第10代崇神天皇の段で登場します。

 崇神天皇の御世には疫病が多く起こり、人民も多数亡くなりました。天皇は大いに悲しみ、夢に神意を得るために特別に清めた寝床で眠っていると大物主大神が夢に現れ、こう言ったのです。「これは我が御心である。意富多々泥古に我を祀らせなさい。そうすれば祟りも起こらず、国は安らかになるであろう。」
 早速、天皇は四方八方手を尽くして探させ、ついに見つけます。そして聞いたんですね。「あなたの名前、なんてぇーの?」(トニー谷かよっ、誰も知らんで!)
「大物主大神の子孫の意富多々泥古ともーします!」
見つけた! 天皇が意富多々泥古を祭主として御諸山に大物主大神を祀ると、あらら、疫病はすっかりやみ、国は安らかになったのです。

 意富多々泥古が神の子孫であることを知らしめる伝説があります。
ある夜、活玉依毘売(いくたまよりびめ)というとても美しい毘売のもとに、容姿、威厳とも比類無い若い男が訪ねてきました。その夜、二人はあっという間に合体!(早っ!)そうして毎晩一緒に過ごしているうち、ほどなく毘売は妊娠しました。
 毘売の父母「夫もいないお前が何で妊娠したん?」
 毘売「毎晩、いい男が通ってくるもんだから、つい仲良くなっちゃって♡♡・・。」
 父母「麻糸を針に通して、それを男の着物の裾に刺しなさい。」 

翌朝、針につけた麻糸は戸の鍵穴から抜け通って出て、それをたどって行くと三輪山に着いて神の社のところで終わっていた。あのいい男は神だったのですね。そして、おたまきの杉とは、姫が糸巻きの糸をたよりに三輪山に至った時に、糸がこの杉のところで終わっていたとされる伝説の杉なのです。緒環(おたまき)とは糸巻きのことです。
 ということで、大物主大神と活玉依毘売が結婚し、意富多々泥古はその子孫に当たるという話です。

7.久延彦神社

 大直禰子神社から5分ぐらい歩くと久延彦神社に着きます。久延彦(くえびこ 古事記では久延毘古)は、大国主神に、一緒に国作りをした少名毘古那神の名前を教えた神で、正体は案山子なんですね。足で歩くことはしないが、天下のことを何でも知っているとして知恵の神様と言われています。

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 えっ? 鳥居の奥は階段でしょうか?

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 ありゃー、階段ですわ! 頑張らねば。

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 登りきると拝殿がありました。そして、展望台から素晴らしい景色が見えます。

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 左に見える大きな鳥居が大神神社の大鳥居でしょうか。

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 登ってきた階段を見下ろすとこんな感じです。右の手すりは展望台です。

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 ご朱印をいただきました。

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 さぁ、いかがでしたでしょうか。大神神社は参拝時間を1時間と考えていたのですが、結果は2時間を要しました。実際に行ってみると予定外のことが多くありますね。まぁ、これも旅の楽しみのうちですけどね。

 さて、次は橿原神宮へ向かいます。次回もお楽しみに!


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