のと爺の古事記散歩

古希になった爺さんが勝手気ままに古事記を散歩します。

超入門古事記(12)八十神の迫害~オオナムジは二度死ぬ

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 冒頭の写真、間違えて貼り付けたんじゃないですよ。1967年公開の、007シリーズ「YOU ONLY LIVE TWICE 007は二度死ぬ」のポスターです。映画をご覧になった方もいらっしゃると思います。50数年前、紅顔(失礼!厚顔でした)の美(?)少年だった私も、映画の舞台が日本で、ボンドガールが浜美枝、若林映子という美人女優さんだったため、胸をドキドキさせながら見に行ったことを覚えています。

 なぜ唐突にこんな話をしたかというと、実はオオナムジも二度死んでいるんです。
今回はこのあり得ない話です。(そんなわけねぇーだろう!という話です。)

 

目次

1.八十神の迫害(その1)

 八十神一行が伯耆国の手間山の麓に着いたところで、オオナムジにこう言います。

「赤い猪がこの山におるんじゃ。わしらが一緒に追いかけて下るから、おみゃーさんは待ち伏せてそれを捕まえるんじゃ。ええか、捕まえ損なったらおみゃーさんの命はねーずらよ!」

 こう言って、猪に似た大きな石を火で焼いて、山の上から転がしたのです。何も知らずに猪を捕らえようと待ち構えていたオオナムジは、たちまちその石に焼き付けられ、押しつぶされて死んでしまいます

*ちょっとちょっと、何かおかしくないかい? 八上比売と一緒になるはずのオオナムジが、なんでまだ一行にノコノコ着いて行ってるの?八上比売はどうしちゃったの? しかし、古事記には何も書かれていません。

 鳥取県南部町の赤猪岩神社(あかいいわ神社)の境内には、「大国主命が抱いて落命した」と言い伝えられている岩が祀られています。この岩は、地上にあってこの地を穢さないよう土中深く埋められ、大石で幾重にも蓋がされ、その周りには柵が巡らされ、しめなわが張られています。(同神社HP)

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2.オオナムジ、一度目の復活

 オオナムジが死んだという知らせ(メール?LINE?)を聞いたオオナムジの母神である刺国若比売(さしくにわかひめ)は大いに泣き悲しみ、高天原に上り、神産巣日神に助けを求めます。(神産巣日神はお分かりですね。最初に高天原に現れた造化三神のうちの一柱ですよ。)

 「オーマイガッド!(いや、あんたも神でしょっ!)かくかくしかじか、我が息子のオオナムジちゃんをお助け下さい、お代官さま、いや、神さまお願い~だぁ~!」

 神産巣日神は赤貝の神である貝比売(きさかいひめ)と、はまぐりの神である蛤貝比売(うむきひめ)とで編成した「オオナムジを助け隊」を遣わして救助させました。

 ところが、この救助の仕方に諸説あるんですね。

 ①刮貝比売が削り落とした赤貝の粉を集めて、蛤貝比売が蛤の汁に溶いて薬を作り、その薬をオオナムジの身体に塗ると、あら不思議、あっというまに生き返り、むしろ死ぬ前よりイケメンになっちゃったのですー!

 ②刮貝比売が、石に貼り付いてバラバラになったオオナムジの身体をこそげ集め、蛤貝比売が待っていてそれを受け取り、刺国若比売の乳汁を塗って癒着させた。すると、立派な青年になって出歩いたのです。ジャジャーン!

 ここでは書きませんが、②の方が原文の解釈としては近いのかな、と爺さんは思います。(意見には個人差があります)

 この話をイメージしたのでしょうか、洋画家青木繁の作品があります。中央で倒れているのがオオナムジ、向かって右側の乳を与えようとしているのが蛤貝比売、左側が刮貝比売ですね。

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3.八十神の迫害(その2)

 死んだはずだよ、お富さん(じゃなくて、オオナムジ)生きていたとは~♪
八十神はビックリポンです。

 「聞いたかや、オオナムジが生きとるとよ!」
 「なにー!焼け死んだんとちゃうんかい?」
 「いったんは死んだんやけど、高天原から助け隊が来て生き返らせたんやと!」
 「へぇー、医学の発達は素晴らしいのぉー。」
 「感心しとる場合やないで、どないするんや!」
 「ほな、もういっぺん殺すしかねえべさ。」
 「そんだなぁー、やるべやるべ!」

 とまぁ、とても神様とは思えない策略を考え出したのです。

 八十神は、オオナムジをだまして山に連れて行きます。えぇーっ、またノコノコ着いてったんかい!?オオナムジっておかしくないかい?みなさん、そう思いますよねー、私もそう思います。余りにもアホ過ぎます。

 八十神は、大きな樹を切り倒し、割れ目に楔(くさび)を打ち込み、割れ目の中にオオナムジを入らせて、とたんにその楔を引き抜いてオオナムジを挟み殺してしまったのです。オオナムジのアホさ加減、救いようがありません。

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4.オオナムジ、二度目の復活

 再び、オオナムジが死んだことを知った刺国若比売は、泣きながら我が息子を探し出しすぐにその樹を引き裂き、オオナムジを取り出して生き返らせました。今度は、誰の手も借りずに自力で生き返らせたんですね。でも、どうやって?
 古事記に生き返らせた方法は書いてありません。母の力でしょうか。でも、オオナムジが挟まった樹を引き裂くなんて、凄くねっ!?

 刺国若比売はオオナムジに言います。
「お前はほんとにアホやなー、二度も殺されるなんて007じゃあるまいに! このままやったらまた狙われるで!」

 そして、刺国若比売はオオナムジを木の国の大屋毘古神(おおやびこのかみ)のもとへ人目を避けて逃がしたのです。
*大屋毘古神は、イザナギ、イザナミの神生みで成った家屋の神様です。

 さて、オオナムジは無事に逃げ切れるでしょうか!この続きは次回!

5.今回のポイント

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①オオナムジが愚か者に書かれているのはなぜ?
 
古事記にはその理由は書かれておらず、読者の解読になります。二度も殺され、自力では何も解決できず、他者の力を借りて難を逃れてきたダメダメオオナムジが、ご存じの通り、やがてはスーパーヒーローの大国主神となります。つまり、このサクセスストーリーをダイナミックにするためには、最初はダメ振りを発揮しておいた方がよいと考えられたのではないでしょうか。

②八十神もオオナムジも武器を使わないのはなぜ?
 
八十神は、オオナムジを殺そうとしたとき、まったく武器を使っていません。大石を転がしたり、樹の股に挟んだりという面倒な手段でなく、例えば十拳剣で一刺しにすれば間違いなく殺せたでしょうに。また、オオナムジも本当に大石を猪だと思っていたのなら、矛や剣などの武器を用意するのが当たり前で、素手で抱きつくなんてあり得ませんよね。ということは、オオナムジは丸腰だったのですね。不思議です・・・。

6.まとめ

 さぁ、いかがでしたでしょうか。最後までお読みいただき、有り難うございます。

結局、今回の話でオオナムジ再生の最大の功労者は、神産巣日神だと言えると思います。この神様が、後々もオオナムジを支える場面が出て来ますよ。

 さて、次回ではオオナムジは思わぬ神様と再会することになります。

 いったい誰!?

 


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