さてさて、オオナムジはひそかに木の国の大屋毘古神のもとへ逃げたのでした。しかし、というかやはりというか、八十神もしたたかなんですね。追跡の手を緩めなかったのです。人目を避けて逃げたのですが、考えて見れば八十神は人ではないので、神の目は逃れることはできなかった、ということでしょうか。てへっ!
目次
1.八十神の追跡と根之堅州国への逃走
「オオナムジめ、木の国の大屋毘古神のところへ逃げたらしいでぇー!」
「おおやびこ? 知らんなぁー、大屋政子(おおやまさこ)とちゃうんか?」
「大屋政子を知ってるなんて、古!」
「とにかく、木の国へ行くでーーーーー!!」
木の国に着いた八十神は、弓に矢をつがえてオオナムジの引き渡しを迫ります。
「ウリャー! オオナムジをかくまってることは分かっとるんじゃ、はよ引き渡さんと、耳の穴から指突っ込んで、奥歯ガタガタ言わしたるでー!!」
オオヤビコはオオナムジをこっそり呼んで言います。
「あなたのお兄様達って、お下品ねぇ~、どんだけ~! ギャグも古いし、私のタイプじゃないわね~。そこの木の俣をくぐって、スサノオ様がいらっしゃる根之堅州国にお逃げなさい!きっとうまく取り計らってくださるわよ~ん♡」
2.根之堅州国に到着、そして超、年の差婚
木の俣をくぐると、急な下り坂になっていました。オオナムジは一気に転がり落ちます。ピュー--------!!ドッスーン!ここはどこ?私は誰?
オオナムジはスサノオの御殿に行きました。ピンポーン♪♪
すると、スサノオの娘の須勢理毘売(すせりびめ)が出て来ました。そして、オオナムジを見たとたん、ウィンクバチバチ、ビビッと来て、あっという間に合体!♡
んなわけねーだろー、と思ったあなた、原文はどう書いてあるか見てみましょう。
「其女須勢理毘売出見 為目合而 相婚~」
其の女須勢理毘売出で見て、目合為て、相婚~
つまり、須勢理毘売がオオナムジを見て、「目配せして結婚した」と書いてあるんですね。情熱的!!
ん?ちょっと待ち-や、なんかおかしくないかい?
オオナムジはスサノオの六代孫だから、スサノオはオオナムジの「おじいさんの、おじいさんの、おじいさん」ですよね。ということは、その、おじいさんの、おじいさんの、おじいさんの娘のスセリはいったい何歳なんでしょうか?? しわくちゃバアさんじゃねーか?!これで結婚するかぁ???責任者出て来ーい!!
はい、お怒りはごもっともですが・・・・、肝心なことをお忘れでないですか?
神様は不老、つまり永遠に若いんです。スセリもきっとお肌ピッチピチのギャルだったんではないでしょうか。
3.スサノオからの試練
スセリは御殿の中に入ってスサノオに報告します。
「とーちゃん!すんごいイケメンの神様がいらっしゃいましたよ!あたし、さっそく合体しちゃいました~♡」
「なにーっ、もう合体しちゃったんか!あんたも好きねぇ~。」
そして、オオナムジを見てこう言います。
「こいつは、葦原色許男(あしはらしこお)じゃ!今夜は蛇の室で寝ろ!」(葦原中国を治める力がある男だと見抜いていたのでしょうか、力量を試したのかも知れませんね)
オオ「えーっ、ムリムリ、僕ちゃん蛇きらいやねん。」
スセ「蛇が噛もうとしたら、この蛇の比礼(ひれ:スカーフのような薄い布)を三回振
れば大丈夫よ。」
オオナムジが言われたとおりにすると、蛇はすっかりおとなしくなり、オオナムジはぐっすり眠れたのでした。
次の日の夜、今度は百足と蜂の室に入れられました。
そして、またまた、スセリが百足と蜂の比礼をオオナムジに渡し、難を逃れたのです。
しかし、スサノオの試練はさらに度を増していきます。
今度は鳴鏑(なりかぶら)という矢を野原に射込み、それを拾ってこいと言うのです。
そしてなんと、オオナムジが野原に入ると火を放ち、野火で囲んでしまったのです。
オオナムジは絶体絶命! すると、そこに一匹の鼠が現れ、オオナムジに言うには、
「内はほらほら、外はすぶすぶ」つまり、「内側は空洞で、出入り口はすぼまっている」と言って地面を踏むように合図したんです。
鼠の言うとおりに地面を踏むと、穴が空いて土の中に落ち込みました。穴の中に隠れている間に火は通り過ぎ、オオナムジは助かったのです。
そしてなんと、その鼠が、探していた鳴鏑をくわえて持ってきて、オオナムジに差し出したのです。おー、神よ! いやいや、あんたも神だから。
焼き尽くされた野原を目の当たりにして、スサノオとスセリはオオナムジが焼け死んだと思い、葬式の道具を持って焼け跡にやって来ました。
すると、なんとなんと、そこに矢を握りしめたオオナムジが現れたのです!!
オー、マイダーリン♡♡
さて、これでスサノオの試練も終わりかと思いきや、さらに続くんですね、ホントにしつこい、スサノオってこんなに粘着質だったっけ?
この続きは次回!
4.今回のポイント
①スサノオは根之堅州国の大神になっていた。
クシナダヒメと結婚し、須賀宮に収まっていたスサノオは、念願(?)かなって根之堅州国にいたんですね。古事記にはあらためては書いてないのですが、スセリビメはクシナダヒメとの間の子供と考えてよいと思います。クシナダヒメが全く出て来ないのが少々心配ですが・・・。
②神様は不老です。
オオナムジとスセリビメの結婚は、カトちゃんも真っ青の超ーーーー年の差婚です。
つまり、古事記全般に言えることですが、時間の経過という感覚は全くありません。各所にそりゃないだろーがたくさん出て来ます。
③スサノオの試練は何のため?
最初は、大事な娘に手を付けやがってという怒りからきている部分もあるとは思いますが、一見して葦原色許男と言ったということは、オオナムジの隠れた素質を早々と見抜いていたということでしょうか? 超入門編にしては小難しい?
5.まとめ
ここで、お詫びと訂正です。前回のまとめで、オオナムジは思わぬ神と再会すると書きましたが、これ、私の勘違いでした。お詫びして訂正します。忘れて下さい。(_ _)
さて、いかがでしたでしょうか。最後までお読みいただき、有り難うございます。
スセリビメは嫉妬深い女神と言われており、そんな性格が表れている場面がやがて登場しますよ!
では、今回はここまでです。次回をお楽しみに!
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