のと爺の古事記散歩

古希+4歳になってしまった爺さんが勝手気ままに古事記を散歩します。

超入門古事記(15)オオクニの国作り~何をしたのか書いてない?

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 さてさて、八十神もやっつけたし、各地の比売神ともめでたく結ばれたし、ようやく国作りを始める気になったオオクニでしたが、一人で何から始めたらいいんだべか。大国主神になるには何をしたらいいのか、誰かおせーて!

 

 

1.少名毘古那神との出会い

 オオクニがボーッとしながら出雲の美保埼(みほのさき)に来ると、海の彼方からガガイモ(つる性多年草)で作った舟に乗って、蛾の皮で作った衣服を着てやってくる神がいました。いったいどんな格好やねん?

 オオ「あんた、誰やねん?」
 カミ「・・・・・・」
なにも答えません。
 オオ「誰か知っとるやつおらんのか?」

周囲の神たちに聞いてもみな知りませんでした。そのときヒキガエルが「それは、久延毘古(くえびこ)が知ってるんじゃねぇか?ゲロゲーロ!」(球児・好児か?)と言いました。
青空球児・好児は「ゲロゲーロ」で一世を風靡した漫才師です。

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 久延毘古は山田の案山子のことで、歩くことは出来ないが天の下のことをなんでも知っている知恵、知識の神です。

 クエ「この神は、神産巣日神の御子で、少名毘古那神(すくなびこなのかみ)でいら
   っしゃいます。」

 オオクニはカミムスビと聞いてビビります。なぜなら、八十神に殺された時に助けてくれた神様だからです。恐る恐るお伺いをたてます。
 オオ「もしかしたら、もしかしたら~、スクナビコナ様はカミムスビ様の御子様じゃ
   ないの~♪?」
 ムス「お~!そりゃぁ、間違いなくわしの子じゃよ。なにしろ小さいもんだから、
   いつじゃったか、指の間からこぼれ落ちちゃったんだよねえ~。
   オオクニよ、スクナビコナと兄弟になって、一緒に国を作り固めろや。」

 と、まぁこんな具合でオオクニとスクナビコナは協力して国作りに励むことになります。では、具体的に何をしたかというと、実は古事記には何も書いていないんです。
なんじゃそれって思いますよねぇ。それこそ、責任者出て来いや-!

2.国作りって、何をしたの?

 古事記には何をしたのか書かれていないので参考文献を探すと、古語拾遺(こごしゅうい・平安時代前期に書かれた歴史書)にチョロっと書いてあります。

「蒼生(アオヒトクサ=人民)・畜産(ケモノ)のために、病を治療する方法を定めました。また、鳥獣・昆虫の災いを払うための占いをする方法を定めました。それで百姓が今に至るまでに命を繋いでいるのです。」

 これで、農業の神とか、医療の神とか言われるんですね。

 それから、伊予国風土記にはこんなことが書いてあります。

 国作りのために全国を巡っていた、オオクニとスクナビコナでしたが、ちょうど伊予の国を旅していた時、スクナビコナが長旅の疲れから、病気になって倒れてしまいました。そこでオオクニはスクナビコナを手に乗せて、あたりを見回し治療に役立つものがないか探します。そして見つけたのが温泉でした。スクナビコナを温泉に入れてやるとあら不思議、すっかり回復したのです。

 この温泉こそが、道後温泉だったという話です。チャンチャン。

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3.御諸山の上に鎮座する神ってだれ?

 オオクニと一緒に国作りをしていたスクナビコナですが、突然、常世の国(海の彼方の国)へ行ってしまいます。またしても古事記には理由が書いてないんですね。意味が分かりませーん!

オオ「もう!突然いなくなっちゃって、どうすんだよー、わし一人じゃムリー!」

 その時、またもや海を照らしながらやってくる神がいました。

オオ「ムムッ、スクナビコナと同じ現れ方しよって、あんた誰?」
カミ「お前がわしを祀るなら、お前と一緒に国作りしてもエエデェー。そうせんと
  国作りは終わらんでー。」
オオ「なんか上から目線やなー、どないしたらええねん?」
カミ「わしを大和の青垣の東の山の上に祀れー!」

 この神は御諸山(現在の奈良の三輪山)の上に鎮座している神ですが、ここでは名前を明かしていません。
少々混み入った話が後ほど出て来ますが、ここではスルーします。

 こうして、オオクニはついに葦原中国を完成させ、国作りを終えたのです。

 葦原中国は大変に栄えましたが、その様子を高天原からじっと見ている怪しい影が・・・・。

 キャー! 誰やー!

4.今回のポイント

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①オオクニの国作りとは何だったのか?
 
これは大きな疑問ですよね。スクナビコナ、あるいは御諸山の神と国作りをしたとはいうものの、具体的に何をしたのかは古事記には書いてないんですね。地方の比売神を追いかけ、求婚したのは事細かに書いてありながら、肝心なことは書いていない。なんか中途半端な気がしますね。

葦原中国の完成
 
イザナギイザナミの国生み、神生みから始まった国の修理固成が、葦原中国の完成であらたな局面を迎えます。ついに高天原の魔(?)の手が・・・。

大国主神のイメージが変わった?
 
可哀想な兎を助けた優しくて、国土を作った勇敢な神様と思っていた方々、大国主神のイメージが変わったのではないでしょうか。確かに兎を助け、国土を完成させましたが、6人もの妻を娶った、「英雄〇を好む」を地で行った神でもあったんですね。

5.まとめ

 さぁ、いかがでしたでしょうか。最後までお読みいただき、有り難うございます。

葦原中国が完成して、次はいよいよ「国譲り」になります。わがままアマテラス姉ちゃんが登場しますよ!

 次回をお楽しみに!

 


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