前回、三貴子が成ったという話をしました。アマテラスは生まれながらの最高神なのですが、弟のスサノオはどうだったのでしょうか。
話が進んでいくとだんだん分かってくるのですが、アマテラスは実は自ら進んで積極的に行動するタイプではないんですね。それに比べてスサノオは、こまったちゃんではあるのですが、後先考えずにガンガン行っちゃうタイプなんです。この性格の違いがこれから起きる諸事の伏線になっている、と爺さんは考えます。
1.スサノオのこまったちゃんぶり
「うあ゙ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゙ぁあぁ゙ああぁぁうあ゙ぁあ゙ぁぁ・・・・・。」これ、
スサノオの泣いているさまです。
スサノオは、イザナギから海の国(地上世界と考えていいでしょう)を治めるように命じられたのですが、国を治めず、長い髭が胸に届くほどの長い期間、泣きわめいてばかりいたのです。この泣きっぷりがすさまじく、青々とした山を枯らし、川や海を泣き乾してしまいました。そのため、あらゆる禍(わざわい)が起こったのです。
2.スサノオの追放
スサノオが泣いてばかりいて国を治めないため、イザナギが問い詰めます。
ナギ「どうして、おみゃーさんは命令に従わず、泣いてばかりいるんじゃ?」
スサ「僕ちゃんは、カァちゃんのいる根之堅州国に行きたいんじゃ、カァちゃんに会い
たーい!」
ナギ「何を言っとるんじゃ、マザコンがー!! ほならこの国を出て行けーーー!」
ということで、スサノオは海の国から追放されてしまいます。
そして、イザナギは淡海の多賀(滋賀県多賀町、多賀大社)に鎮座しました。つまり、引退したということですね。古事記はここではイザナギを伊邪那岐大御神と表現し最大の敬意を表わしています。
さて、ここで疑問ができますね。
スサノオは、なぜ母親に会いに根之堅州国に行きたいと言ったのか?
これらについても古事記はなんの説明もしていません。読み手の解読になります。
3.スサノオは、なぜ母親に会いに根之堅州国に行きたいと言ったのか?
スサノオはイザナギの禊ぎで生まれていますので、母親はいないんですね。そして、
もし、母親をイザナミのことだと考えれば、根之堅州国ではなく、黄泉の国へ行きたいと言うはずなんですね。
そこで、何の根拠もない私の解釈です。(やや、ムリクリ・・・。)
スサ「ねぇ、とうちゃん、ちょっと聞きたいんだけんど、僕ちゃんにはカァちゃんは
いないんか?」
ナギ「カァちゃんかー。お前が生まれた時にはもう亡くなってしまっていたんだよ。」
スサ「そんじゃ、どこへ行ったらカァちゃんに会えるん? カァちゃんの名前はなんと
言うんかの?」
この時、イザナギはホントのことを言うべきか悩みました。
強いて母親と言えばイザナミしかおらんけど、イザナミは黄泉の国にいるなんて言
ってしまったら、あの忌まわしい話をせざるを得なくなる。そうだ、イザナミの名前
は言わずに、もう一つの死の国である根之堅州国にいるらしい、とでも言っておくの
がよかんべ・・・。
ナギ「そうじゃのー、根之堅州国へ行けば会えるかも知れんのー。」
この話を聞いたあとから、スサノオは泣いてばかりいるようになったのです。
そうなんです。スサノオがいう母とはイザナミのことであるとか、黄泉の国と根之堅州国は同じ国だとかいう解釈があるのですが、爺さんのはちょっと違います。
古事記にはこう書いてあります。「僕は母の国の根之堅州国に行きたいと思って泣いているのです。」
そうです、スサノオは母とはイザナミのこと、とは言ってないんですね。そして、死の国は黄泉の国だけではない、と考えればこんな筋書きも成り立つんじゃないかと思った次第です。つまり、イザナギから、根之堅州国に行けば母親に会えるかも知らん、と聞いていたんです。だから会いに行きたいと泣いていたんですね。かなり度を越した泣き方ですけどね。
こんなイメージです。
4.高天原へ向かったスサノオ
さて、追放されたスサノオですが、こまったちゃんの本領発揮で、全く気にしていません。
「いいもんねぇー、僕ちゃんは根之堅州国へ行くんだもんねぇー! そうだ、その前にアマテラスねえちゃんに会っていくか!」
と、いつものように軽ーく考えてアマテラスのいる高天原に向かったのです。地上世界から天上世界へと舞い上がったのですが、この時、山や川はことごとくどよめき、国土はすべて震えたのです。スサノオが動くとこんなに凄いことになってしまうのですね。
アマテラスのところに女官が駆け込んできます。
女官「アマテラス様、えらいことじゃて。地震かと思って様子を見てきたら、スサノオ
様が地上を追放されて、こっちゃへやってきますだー!」
アマ「なんじゃて! さてはキャツめ、地上世界を追われたから、高天原を奪いに来よ
ったか。んなことはさせんぞ!皆の者、戦いじゃー!!」
てなわけで、何にも知らずに脳天気に高天原に向かうスサノオと、戦闘態勢を整えて
迎え撃つ気満々のアマテラス。
この二柱の神様の運命やいかに! パパンパンパン!(張扇の音のつもり)
この結果は次回にーーーー。(引っ張りますねぇ~)
5.今回のポイント
①黄泉の国と根之堅州国は別の国と思われる。
諸説あるテーマですが、爺さんは上述したように、地下世界にある死の国ではあるが、同一の国ではないと思います。古事記が別の国名を書いているのもそういう意味だと思います。ずーっと後の話ですが、大国主神の話の時にもう一度根之堅州国について説明が出来ますのでその際に改めてしますね。
②スサノオはほんとに困ったちゃんです。
泣いてばかりで追放されてしまったのですが、全く懲りていません。そして、またまた高天原で困ったちゃん振りを発揮して大事件を起こしてしまいます。
③神様でも勘違いする。
後で勘違いと分かるのですが、アマテラスはスサノオが高天原を奪いに来たと思って戦闘態勢に入ります。意外と瞬間湯沸器的性格もあるんですね。
6.まとめ
さぁ、いかがでしたでしょうか。最後までお読みいただき、有り難うございます。
今回からしばらくはスサノオを中心とした話が続き、皆さんもご存じのエピソードがいろいろ出て来ますので、どうぞお楽しみに!!
スサノオとは、不思議な神様なんですよ~。
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