のと爺の古事記散歩

後期高齢者になってしまった爺さんが勝手気ままに古事記を散歩します。

超入門古事記(8)アマテラスとスサノオの対決、かかって来いやー!

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 さてさて、根之堅州国に行く前にアマテラス姉ちゃんに会いに行くべぇ、とルンルン気分で高天原を目指したスサノオでしたが、一方でアマテラスは高天原を死守せにゃならんと、完全武装で迎え撃つ態勢を整えています。

 さぁ、この対決の結果はいかに?

 

  

1.アマテラスの武装スタイル

 迎え撃つ気が満々のアマテラスがどんな格好をしたか、気になりませんか?実は、こんな格好だったのです。イヨッ! 武闘派アマちゃん、素敵よーーー!

①髪を解いて御みづら(男性の髪型・左右に分けて耳のあたりで束ねる)に結い直した。
②左右の手には、八尺の勾玉の五百津(いおつ)のみすまるの珠(多くの玉を緒に通した飾り)を巻き持った。
③鎧の背には千本入りの矢入れを負い、鎧の胸には五百本入りの矢入れを取り付けた。


 このスタイルで、弓を起こし、堅い地面に股まで踏み入れ、地を雪のように踏み散らかし、威勢よく雄叫びをあげ、スサノオと対峙したのです。

 どうです?恐いですよねぇ~、冒頭の写真とは随分違いますよね。アマテラスのイメージが変わりませんか? さすがの困ったちゃんスサノオも真っ青です。このスタイルのアマテラスをネットで探しました。おそらくこれが近いかなー。

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武装したアマテラス

アマ「ウリャー! 国を奪いに来やったか、そうはいかんぜよ、かかって来いやー!」
スサ「ちょっと待ってや、ねえちゃん、性格変わったんちゃう? かくかくしかじかで
   根之堅州国に行くことにしたけん、姉ちゃんに挨拶に来ただけやて。」
アマ「ホンマか?ほんなら、邪心がないことを証明してみーや。」
スサ「証明?無理や。とにかく、トラストミー。」
アマ「なにー?どっかの国の最悪の元総理みたいこと言いよって。信用できん!」
スサ「ほなら、誓約(うけい)をやるべ!」

2.アマテラスとスサノオの誓約

 結局、誓約(うけい)をすることになったのですが、そもそも、誓約って何でしょうか。誓約とは、「予め決めた通りの結果が現れるかどうかで吉凶を判断する、占いの一種」なんですね。

 二柱の神は、天の安の河(高天原に流れる河)を挟んで立ちます。

 始めに、アマテラスがスサノオの帯びていた十拳剣を天之真名井(あめのまない・高天原にある神聖な水をくむ井戸)の水ですすぎ、口に含んでボリボリ噛み砕いて、勢いよく吹き出すと、息の霧から三柱の女神が成りました。宗像三女神と呼ばれる神々です。
 多紀理毘売命(たきりびめのみこと)
 市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)
 多岐都比売命(たきつひめのみこと)

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 今度は、スサノオがアマテラスの御みづらに巻いてあった勾玉を手に取り、天之真名井の水ですすぎ、噛み砕いて吹き出すと、息の霧から五柱の男神が成ったのです。
 正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)
 天之菩卑能命(あめのほひのみこと)
 天津日子根命(あまつひこねのみこと)
 活津日子根命(いくつひこねのみこと)
 熊野久須毘命(くまのくすびのみこと)

 誓約が終わるとアマテラスはこう言いました。

五柱の男神は、私の勾玉から成ったので、私の子です。三柱の女神は、スサノオの十拳剣から成ったので、スサノオの子です。」

 これを聞いてスサノオは、「僕ちゃんに邪心がないから女神が成ったんや!これで証明できたで、僕ちゃんの勝ちやー!」と、大はしゃぎしました。

 これ、ちょっとおかしいですよね。誓約が始まる前には何も決めていなかったのですよ。女神が成った方が勝ちなんて決めていなかったのに、勝手にはしゃいでる。またも古事記は、なんの説明もなく、スルーしてます。

3.スサノオの悪行

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 勝ち誇ったスサノオは暴れ回ります。

 アマテラスの田んぼの畔を壊し、溝を埋めてしまいます。さらには大嘗(おおにえ)を行う神聖な御殿に糞をまき散らします。ブリッ!

 それでもアマテラスはスサノオをかばいます。「糞をまいたのは酔ってたのでしょう。畔を壊し、溝を埋めたのは土地が惜しいと思ったのでしょう。」

 しかし、スサノオはますます調子に乗ります。アマテラスの機織り小屋の屋根に穴を開け、尻の方から皮を剥いだ馬を落とし入れました。驚いた機織女は、機織り道具が身体に刺さり死んでしまいます。 

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 これを見たアマテラスは恐れをなし、天の岩屋の戸を開き、なかに籠もってしまったのです。
 さぁ、一大事です。高天原は暗闇に包まれ、葦原中国もことごとく暗くなりました

 

4.今回のポイント

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①アマテラスは、誓約によって成った五柱の男神は自分の子であると明言した。

 後にも先にも、アマテラスの子とされるのはこの五柱の神だけです。ただねぇ~、長男と思われる正勝吾勝勝速日天忍穂耳命は、やたら名前が長いだけで頼りにならんのですわ。天孫降臨の段で再登場します。

スサノオの悪行で分かったこと。

 アマテラスが田を作ったり、機を織ったりしていることが分かりましたね。ということは、青人草(人間)がいるということですね。そして、大嘗の御殿があることも分かりました。このあたりが、アマテラスは巫女であるとか、もしかしたら卑弥呼じゃないの?説が出る根拠かも知れません。

5.まとめ

 さぁ、いかがでしたでしょうか。最後までお読みいただき、有り難うございます。
アマテラスとスサノオの誓約の目的はなんだったのでしょうか?
 結果的には、とりあえずはアマテラスの後継者と目されるオシホミミが生まれたということが最も大きなことだったのではないかと思います。

 アマテラスの直系がこんな形で生まれてくるとは思いませんでしたね。

 

 さてさて、高天原は暗闇となってしまいました。

 さぁ、どうする、どうするー!?

 この続きは次回に・・・。(ひっぱるねぇ~)

 


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