やっとこさ国譲りが終わり、いよいよ葦原中国の統治者を送り込むことになります。アマテラスとしては、当然、自分の長男を送りたいのですが、この長男のオシホミミという神様は、国譲り使者も命じられながら怖じ気づいて行かなかったり、そういう面倒なことは全くやる気ではないんですね。さぁ、どうなることやら。
1.結局、孫が行くことになった。
アマテラスと高御産巣日神(別名・高木神)は長男のオシホミミに命じます。
アマ「国譲りが終わったけ、天降って統治しなはれや。」
ミミ「いや、あの、その、なんだかんだ、はれのちあめで、あめあらし・・・。」
アマ「なに訳の分からんことを言っとるんじゃ?はっきりせんかい!」
ミミ「実は、おかあさま、落ち着いて聞いてくりゃ。私に子が生まれまして、その子を
降ろすのがええんじゃないかと思う、今日この頃でありんす。」
アマ「なにー、こどもーっ?聞いとらんで、いったい生んだのは誰じゃ?!」
ミミ「高木神の娘で、万幡豊秋津師比売命(よろずはたとよあきつしひめのみこと)で
おます。生まれた子は天火明命(あめのほあかりのみこと)と、天邇岐志國邇岐志
天津日高日子番能邇邇藝命(あめにきしくににきしあまつひたかひこほのににぎの
みこと)の二柱です。」
アマ「お前は子作りだけは速いのぉー、それにしても、何じゃその名前は!一人は4文
字やけど、もう一人は20文字やで、覚えられるか!」
といったやりとりがあったかどうかは定かではありません(ないに決まってるだろう!)が、結局、アマテラスは、オシホミミの申し出を受け、孫のニニギを降ろすことにしたのです。故に、「天孫降臨」となったのです。
2.ニニギ様ご一行編成
ニニギが天降ろうとしたときに、天上の分かれ道に天地を照らす神がいました。アマテラスと高木神は天宇受売神を呼んで、何者かを問わせます。
ウズ「あんた、誰や?」
カミ「あっしは、国つ神で名は猿田毘古神(さるたびこのかみ)でおま。天つ神の御子
が天降るという回覧板が回ってきたので、そんなら案内役をやらしてもらうべと思
い、お迎えに参上いたしました。」
そして、ご一行が編成されます。
五伴緒(いつとものお)と言われる職業集団のボス連ですね。
天児屋命、布刀玉命、天宇受売命、伊斯許理度売命、玉祖命、そしてこれに思金神、天手力男神が加わります。この神々の名前に覚えがありますか?そう、あの岩屋戸事件で活躍した面々です。
ちなみに、天児屋命は、中臣連らの祖で、後世の「藤原氏」につながります。
さらに、アマテラスは三種の神器となる八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙剣をニニギに授けこう言います。
「ニニギはこの鏡を、私の御魂として祀りなさい。そして、思金神は私の祭事を執り行いなさい。」
これって、結構なプレッシャーになりますよね!後世の天皇にまで影響を与えることになります。
3.ニニギ降臨
さてさて、こうしてニニギ一行は八重にたなびく雲を押し分け、道をかき分けて筑紫の日向の高千穂に天降ったのです。
ニニギが降臨した「高千穂」とはどこなのか、二つの説があります。一つは、九州南部の霧島連峰の高千穂峰、もう一つは、宮崎県の高千穂町です。もちろん、どちらが正しいかは誰にも分かりません。
それとですね、降臨の地がなぜ筑紫の日向の高千穂なんでしょうか。せっかく国譲りを成し遂げたのだから、出雲でもいいんじゃないかと思いませんか?
実は、これにも諸説あるようなんですが、一番しっくりくるのは、そこがアマテラス誕生の地だからなんです。アマテラスは、黄泉の国から逃げて来たイザナギの禊ぎによって誕生しました。その禊ぎをした場所が筑紫の日向だったんですね。そもそも、降臨の地がどうやって決められたのか、アマテラスの命令なのか、ニニギが勝手に成り行きで決めたのか、古事記には書いてありません。私は、アマテラスの指示だったと考えています。
4.天火明命はどうなった?
オシホミミのもう一柱の子供の天火明命はどうなったか、気になりませんか?実はこの神様には別名があります。邇藝速日命(にぎはやひのみこと)という名前で、ずっと後の話になりますが、神武東征の段で登場します。つまり、よーく考えて下さいね。ニニギの降臨が華々しく書かれていますが、実はひそかに、もう一つの天孫降臨があったということです。詳しくは別途お話しします。
5.今回のポイント
①なぜ孫を降臨させたのか。
このテーマを語るときに必ず出てくるのが第41代持統天皇の話です。飛鳥時代のこの頃は、権力をめぐって一族間でも骨肉の争いを繰り広げていた時代です。細かいことを書くとそれだけでブログが書けちゃいますので、メッチャ省略します。
持統天皇は息子の草壁皇子を次期天皇と考えていたが、皇子が若くして亡くなったためその子、つまり持統天皇の孫を第42代天皇とした。文武天皇である。子でなく、孫への譲位は当時は異例であったため、これを正当化するため天孫降臨の話を作ったのではないか、ということです。真偽は分かりませんが、多分、そうだと思います。
②天孫降臨は二度あった。
上述の通り、ニニギだけでなく、ホアカリ(ニギハヤヒ)もいつの間にか降臨していたんですね。詳しくは神武東征の段で。
③三種の神器はここから始まった。
ご存じの通り、三種の神器は天皇が天皇であることの証とされていますが、天孫によって葦原中国に持ち込まれ、歴代天皇によって継承され、現在に至ると考えられます。特に、鏡はアマテラスの御心ですから、そりゃもう大変なもので、ある意味、後世の天皇が苦労する種になってしまいましたね。
本物は源平合戦で海に沈んだ?
6.まとめ
さぁ、いかがでしたでしょうか。最後までお読みいただき、有り難うございます。
さて、降臨したニニギはどのように葦原中国を統治していったのか、ということですが、古事記には何も書かれていません、女神を追いかけてはいるのですが・・・。
さてさて、何が起きるのでしょうか。次回をお楽しみに!
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