のと爺の古事記散歩

古希+4歳になってしまった爺さんが勝手気ままに古事記を散歩します。

古事記の神様と神社・ご近所編Part3(8)~女化神社~これ読めますか?

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 ネットで神社情報をいろいろ見ていたら、変わった名前の神社を見つけました。茨城県龍ケ崎市にある女化神社です。なんて読むか分かりますか? 地元の方以外で読めたなら、あなたは天才かも。 実はおなばけじんじゃと読みます
 この一帯は茨城県牛久市女化町(おなばけちょう)という地域なのですが、この神社の住所は龍ケ崎市です。どうやら牛久市の中に飛地龍ケ崎市の一画があり、そこに神社が建っているということらしいです。
 それにしても、女が化ける神社?ひぇーっ、恐! どんなとこか、恐さ見たさに行って来ました。ヒューッ、ドロドロドロ~・・・。キャーッ、出たー!!!??

 

 

1.場所

 ここです。

2.御由緒と御祭神

 御由緒板と思われるものはあったのですが、劣化が激しくて全く読めませんでしたので、社務所脇にあった案内板を見てみました。

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 案内板に書かれていることから、次のことが分かります。

 女化神社は保食神(うけもちのかみ)を祭神とする神社で室町時代の永正2年(1505年)の創建と伝えられている。かつては「稲荷大明神」「女化稲荷」と称されていた。この神社には狐の恩返し伝説が古くから伝えられており、女化神社という名前はこの伝説から来ている。

 保食神とは?
 日本書紀に出てくる食物の神です。同じ食物の神で古事記に出てくるオオゲツヒメ宇迦之御魂神と同一視され、ウカノミタマに代わって稲荷神社に祀られていることもあります。

3.狐の恩返し伝説

 上記の案内板によるとこういう話です。

 昔、根本(現・稲敷市)の忠五郎という人物が商売の帰りに女化原を通りかかったところ、猟師が眠っている狐を狙っているのを見つけ、これを哀れに思い、咳払いで狐を起こして逃がしてやった。その狐が助けられた恩に報いるため、女性に変身して忠五郎の妻となり、三人の子供をなして家を繁栄させた。
 しかしある日、うたた寝をした女性(狐)はうかつにも尻尾を出してしまい、これを子供達に見られて正体を知られてしまった。それを恥じた女性(狐)は一首の和歌を残して女化原に消え、二度と戻ることはなかった。

 
 案内板には書いてなかったので、狐が残した和歌を調べて見ました。ん~っ、悲しい母心ですね~。

「みどり子の 母はと問わば 女化の 原に泣く泣く 臥すと答へよ」

 *みどり子とは、万葉集に出てくる言葉で小児や幼児を表わします。

 

 そう、女化とは、「女化ける」のではなく、狐が「女化ける」だったのです!

 さて、では参拝しましょう。

 あっ、そうそう、当社のHPを探したのですが見つかりませんでした。

4.参拝

 女化街道沿いの駐車場から拝殿に直行できるのですが、せっかく来たので300mほど南下した所にある一の鳥居からスタートします。

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 周囲はこんな景色です。伝説に言う女化原でしょうか。

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 よく見ると鳥居が2基、くっつくように建っています。密ですよー!この場合、両方とも一の鳥居と言うのでしょうか。分かりませんが、そうしましょう。

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 鳥居の先の林の中を長い参道が続きます。実は私が歩いている時にウグイスの鳴き声が聞こえました。最初は空耳アワーかな、と思ったのですが、何度もハッキリと聞こえたのできっと爺さんを迎えてくれているのだと思いました。「爺さん、良く来たな~、しっかりお詣りしなよー、ホーホケキョ!」みたいな。

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 しばらく歩くと、どうやら鳥居らしきものが見えてきました。

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 二の鳥居です。社号碑に女化稲荷神社とありますね。

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 そしてすぐ先に三の鳥居です。今度は両部鳥居ですね。稲荷神社ですからたくさんの鳥居があるのは分かりますが、ここは神明、明神、両部などいろいろなスタイルの鳥居があるのが特徴ですね。ここからの参道は石畳です。

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 そして、最後の鳥居です。一の鳥居から数えて9基目ですね。鳥居の先、右手に手水舎、正面が拝殿です。

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 そして、狛犬ならぬ狛狐が迎えてくれますが、ここの狐さんは特徴があります。左の狐さんは子狐を二匹、右の狐さんは子狐を一匹連れています。三匹の子狐は、狐の恩返しの話がモチーフになっているんですね。

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5.拝殿

 稲荷神社というと朱色の社殿が一般的ですが、ここは落ち着いた色合いの社殿ですね。なんか素敵です。軒下の狐の彫り物、稲穂をくわえていますね。

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 軒下に絵画が飾られていますが、劣化しているので内容はよく分かりません。参拝の様子や、二枚目はアマテラスの天の岩戸でしょうか。

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6.本殿

 拝殿脇から本殿に回れますが、保護の建物に覆われています。でも、格子の隙間から覗くことができました。ちょっとだけよ~、あんたも好きねぇ~!

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7.その他境内

 本殿裏には摂社を祀るお社や稲荷神社祠があります。

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 本殿裏にある鳥居と、東側駐車場からの入口にある鳥居です。

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8.奥の院

 社殿裏の女化街道を横断し、北へ500m程行ったところに、伝説の女性(狐)が姿を隠した森と伝わる奥の院があります。

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 森の中に稲荷祠があります。劣化が進んでおり、個人的にはもう少し手入れをして欲しいなと思いながらお詣りしました。

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9.ご朱印

 社務所に戻ってご朱印をいただきました。

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10.まとめ

 さぁ、いかがでしたでしょうか。最後までお読みいただき、有り難うございます。

 最初は神社名に興味があって行ったのですが、なんと、歴史もあり、地元の伝説に基づく泣ける話ありの素晴らしい神社でした。稲荷社につきものの朱色の千本鳥居も勿論素敵ですが、ここみたいに不揃いの鳥居達もローカル色豊かで味がありますね。爺さんはこういうの好きです!
 京都の伏見稲荷を参拝した地元の方が稲荷信仰を広めようとしたことと、古くから伝わる伝説がうま~くあいまって神社ができた。なんか、神社ができる原点を見た気がして、参拝した後も心地よかったです。ウグイスさ~ん、アイルビバック!

 


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