のと爺の古事記散歩

古希+4歳になってしまった爺さんが勝手気ままに古事記を散歩します。

アマテラス大研究(4)

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天の岩屋(ウィキペディア

③天の岩屋

   さすがのアマテラスもスサノオの乱暴狼藉を見て恐れ、天の岩屋の戸を開いて刺し籠もった(天照大御神、見畏、開天岩屋戸)。これって史上初の引き籠もりですね。

 で、さらによ~く考えるとですね、アマテラスは岩屋戸を自分で開けて籠もったということですよね。自分で開けて入ったり、細開きして外の馬鹿騒ぎの様子を見たりするんですが、ということはアマテラスは怪力の持ち主だったのか? 天手力男神なみの力持ちでないと岩屋戸は開かないんじゃないかなぁ。

 さぁ、アマテラスが岩屋に籠もってしまったため、高天原葦原中国は闇に包まれ、常夜になってしまいました。そしてあらゆる邪神の騒ぐ声が世の中に満ちて、あらゆる禍がいっせいに生じたのです。八百万の神は困ってしまい天の安川の川原で対策会議を開きます。結局、みなさんご存じの通りアメノウズメを踊り手に神楽を始めるんです。

 さぁさぁ、ここではいろんな事が分かりますよ。

  1. いつのまにか八百万の神がいます。神様はイザナギイザナミが生んだ神様だけじゃないってことですね。
  2. 常世の長鳴き鳥、天香山の男鹿といった動物や鏡を作るための石や鉄といった鉱物、榊などの植物も出てきます。
  3. 動植物の世話をしたり、鉱物の加工をしたりする人間(人草)の存在がある。

ということで、高天原もいつの間にかにぎやかな世界になっていたんですね。

 そうそう、それで、アマテラスが外の騒ぎが気になって岩屋の内側からのぞいた時にアメノウズメは「汝命而貴神坐故歓喜咲楽」(あなたさまより貴い方がいらっしゃるので喜んで楽しんでいるのです)と答えます。そしてこう言っているまにアメノコヤネノミコトとフトタマノミコトが鏡を差し出します。
 鏡を差し出されたアマテラスの反応ですが、「鏡に映った自分を見てアマテラス2号が居るのかと思い、びっくりした」という解釈がありますが、私はそうじゃないと思います。
 そもそも古代の鏡は、今みたいにハッキリクッキリ映るものでなく、むしろ影見(かげみ)といわれるものだったので、なんかがもやぁ~と映る程度だったのです。
 つまり、このお取り込みの最中にオジサン二人が鏡なんかヌーと出してきたものだから、「何やってんの?意味わかんなぁ~い!」ということだったんじゃないでしょうか。それでいよいよ不思議に思って少し戸から出た所を天手力男神に引き出された。

 大騒ぎののち、アマテラスが岩屋から出たため、高天原葦原中国は自然に明るくなりました。これにて一件落着!!

 さて、この段で分かったことですが、アマテラスが岩屋に籠もったのは「このままでは自分もスサノオにやられるかも」という恐れからだったのですね。高天原の統治者でありながら、「かかって来いやぁ~」の勢いはどこへいってしまったのでしょうか。さっさと籠もってしまうのは自分ファーストで、少しまずくないか? そしていとも簡単に八百万の神の策略に引っかかってしまう。ん~っ、高天原の統治者としては今市(いまいち)かな。

 まぁ、発展途上ということでながぁ~~~い目で見ましょう。
 あっ、「統治者としては今市」ですが、これは栃木県独特のギャグです。日光街道を江戸から神君家康を祀る日光へ向かうとき、日光の手前に今市という市があります。現在は日光市に合併されたようですが以前は日光の手前が今市、つまり目標に「あと少し」とか、「一歩足りない」とかいう時のギャグで、「それはいまいちだんべ~」というんですね。

 ではでは、今回はここまで。次回をお楽しみに!